『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
ロッテユニのマネキンがお出迎え



いつもは閑古鳥が鳴いていた球場が、超満員になった日がある。その出来事とは、1988年10月19日、川崎球場で行われたプロ野球のロッテオリオンズ対近鉄バファローズのダブルヘッダーだ。

この試合の経過や結果についてはパ・リーグファンのみならず、プロ野球ファンの間でもあまりにも有名なので、ここでは省略させていただく。「10.19」から10,000日目にあたる2016年3月5日(土)、神奈川・富士通スタジアム川崎で『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』が開催された。

いまだ川崎球場の面影が残る同所で、スタジアムツアーやプロ野球に特化した特設ギャラリーなどを楽しもうという同イベント。同所は川崎競輪場の隣にあり、川崎駅から徒歩15分ほどかかるが、到着したときにはロッテオリオンズ、川崎フロンターレ、アメフトの日本代表のユニフォームのマネキンがお出迎え。それぞれ川崎の地に縁のあるスポーツチームだ。
『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」

ぶっちゃけ、自分も含めこのイベントの参加者は30人ぐらいかなと思っていたが、開始時刻の正午には予想を大きく上回る人数が集まっていた。ロッテオリオンズや近鉄バファローズ、さらには南海ホークスや当時の西武ライオンズのユニフォーム姿の参加者も。一瞬、古き良きパ・リーグの時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥った。

今回のイベントの案内人であり、元々熱烈なロッテファンで、ロッテの応援団員として何度も川崎球場に足を運び、千葉ロッテマリーンズの球団職員も務めた横山健一氏が挨拶を始める。「きょうは空席を除いて超満員のお客さんに来ていただきました。本当に試合のときより多いかもしれないです」という川崎球場をネタにしたジョークで、一気に場の雰囲気が明るくなった。

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
案内人の横山健一氏

続けて、「川崎球場に初めて来たのは、ジプシー・ロッテ時代。ホームにしていた東京スタジアムがなくなって、仙台で主に試合をやっていたんですけど、それだけじゃ消化しきれないので、川崎球場や後楽園球場などを借りているときにここに来ました。それまで川崎球場ってテレビで観る巨人戦のイメージしかなかった」と、かつて大洋ホエールズが川崎球場をホームグラウンドにしていた時代を振り返る。

富士通スタジアム川崎支配人の田中育郎氏も挨拶。「いまここはサッカーやいろんな球技もできるんですけど、アメフトの地として再生している。1951年から続く歴史の1ページにきょうがあるということを伝えていかなければならないということで、去年の4月にミニギャラリーを作りました」と、川崎球場から現在の富士通スタジアム川崎に至る歴史を紹介した。

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
支配人の田中育郎氏

奇しくもこの日は、川崎フロンターレがホームの等々力競技場で湘南ベルマーレと“神奈川ダービーマッチ”を行っており、田中氏も「よりによって、フロンターレのホーム開幕戦にあててしまった」と、苦笑い。

イベントは横山氏がロッテオリオンズの旗を持ち、参加者を引率する形式で進行していく。まずはチケット売場だった場所へ移動し、「当時は携帯電話もインターネットもない時代で、本当に試合をやるのかどうかはテレフォンサービスで調べた」という横山氏の時代を感じさせるコメントに、年季の入ったプロ野球ファンの参加者もウンウンとうなずいていた。

また、川崎球場はグラウンドコンディションが悪く、「試合をやるのか実際に球場に来てみるまでわからなかった。その日は晴れていても、前日に大雨が降った日は水はけが悪く、中止になっていた」という嘘のような本当の話も飛び出す。

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
横山氏の引率で民族大移動

今度は川崎球場外周を一塁側に移動し、“球場名物ラーメン”の話題へ。当時、球場の外には名物のラーメン屋があり、入店すると必ず店員に「食べていきますか? 持って行きますか?」と聞かれていたとのこと。ここのラーメンは観客のみならず選手にも人気があり、90年代のアメフトの選手からも愛されたという。

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
川崎球場の名物だったラーメン

また、スコアボードの手前で売られていたのは、こちらも川崎球場名物の肉うどん。現在でも交流戦で横浜DeNAベイスターズと千葉ロッテマリーンズが対戦する際は、かつて川崎球場をホームとしていた球団同士の対決ということで、肉うどんが特別に販売されるのは、その名残だ。他にも川崎球場名物といえば、パインジュースがあったそうで、それは缶詰に入ったパインをミキサーにかけただけといういたってシンプルなもの。また、ロッテオリオンズが川崎球場を本拠地とした1978年当時、「ヨーキス」という謎の乳酸菌飲料が売られていたという。この「ヨーキス」、いくらネットで調べても出てこない。たしかに横山氏の言う通り、謎だ。

さらに場所を移動し、今度は照明の位置へ。川崎球場は1954年6月にナイター設備が整い、それから今日に至るまでずっとこの照明が照らし続けているという。この照明周辺には選手を乗せたバスが停車し、さらに奥の方には選手個人の車が停まっていたとのこと。ここで横山氏が「川崎球場で気をつけなければいけないことは、外を歩いていると、打撃練習のときのファールボールが飛んでくること。選手やお客さんの車のガラス窓が割れることもよくありました。僕も一度だけ路上駐車したときに窓ガラスが割れていた」と、デンジャラスな体験を語る。川崎球場って、そんなに狭かったのか!

あまりにもファールボールが車に直撃するものだから、その対策として、当時のロッテの監督やコーチ、選手では有藤道世氏や村田兆治氏など限られた人の車にだけ、特別に防護ネットが張られていたというエピソードも。

…とまあ、球場の外の話だけでこのボリュームになってしまったので、この『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』の記事については、数回に分けて掲載していく。次回は、ついに川崎球場の中へ!

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
現在は富士通スタジアム川崎という施設名

『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
横山氏、田中氏(左から)がナビを務める
『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
昨年5月、QVCマリンフィールドで“川崎名物”肉うどんを限定販売
『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
多数の参加者が集まった
『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』に行ってきた!①「晴れていても、中止になる球場」
トニー・バナザードだ!

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