前回からかなり間が空いてしまったが、2016年3月5日(土)、神奈川・富士通スタジアム川崎で開催された『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』の続きの記事ということで、今回は川崎球場の中へ。
かつてロッテオリオンズの応援団員も務めた横山健一氏が参加者を引率し、川崎球場の中を歩いていく。今回のイベントは、無料でボールやグローブも貸し出されていたため、キャッチボールを楽しむ親子の姿も。
フィールドは当時の川崎球場を再現しており、実際にベースや選手が立っていた位置にパネルが設置されている。ライトスタンド方向に目をやれば、場外に「ハウスプラザ角倉」が! この建物の名称を聞いただけでピンとくる人は、かなりの野球マニアと言っていいだろう。10.19のときに、球場に入れなかったファンがこの建物の階段や屋上から試合を観戦していたのだ。翌年ロッテに入団することが内定していた島田茂氏が、当時ハウスプラザ角倉に住んでおり、この試合を観ていたいうエピソードもある。
そして、センター方向のバックスクリーンに目をやれば、スコアボードも再現。当時と同じように、ロッテオリオンズと近鉄バファローズの旗がセンターポールに掲げられた。ただ、当時の近鉄の旗は用意できなかったらしく、大阪近鉄バファローズ時代のものだったが…。
蔦が絡まっていたフェンスも当時の広告の跡があり、面影が残っている。ここで、横山氏が1977年4月29日に行われた大洋ホエールズ対阪神タイガース戦で、阪神の佐野仙好選手がフェンスに頭から激突し、頭蓋骨陥没骨折の大ケガを負った事件について触れた。事の詳細は、阪神が7-6と1点リードの9回裏1死1塁、大洋の清水透選手が放った打球を阪神の佐野仙好選手が追い、フェンスに激突したのだ。いまのプロ野球では、外野手が頭からフェンスにぶつかっても骨折はしない可能性が高いが、当時は現在のようにラバーが張っておらず、むきだしのコンクリート。大ケガを負ってしまうのも無理はない。
お次は、一行がバックスクリーン下から球場の外へ出て、川崎球場の外周を歩いてみる。川崎球場はライト側の客席が極端に狭く、左右対称ではない球場として有名だが、それはライト場外に道路が通っていたから。そのため、巨人の王貞治選手やロッテのレロン・リー選手、近鉄のラルフ・ブライアント選手など左の長距離打者が川崎球場で特大の場外ホームランを放っていたのだ。この場外ホームランが近隣住宅に飛び込み、ガラスが割れるなどの被害が出たため、川崎球場は「王ネット」、「リーネット」を設置していたそうだが、前述したハウスプラザ角倉にも場外ホームランが飛び込み、洗濯機にボールが直撃したという逸話もある。
…とまあ、今回は川崎球場の中や場外の模様をお伝えしたが、次回はかわQホールの中へ! プロ野球に関するユニフォームや書籍、お宝グッズが多数展示されていることで知られるかわQホールが、同イベントのため、特別に“10.19”仕様にリニューアルしていたので、乞うご期待!