
これまで2回にわたり、2016年3月5日(土)、神奈川・富士通スタジアム川崎で開催された『川崎球場10.19~あれから10,000日目~』の記事を書いたが、今回はいよいよ最終回! 前回予告していた通り、かわQホールの中へ。
まず入口にはロッテオリオンズのユニフォーム試着コーナーがあり、実際にユニフォームを着て、記念撮影するファンの姿も。同イベントのために特別に“10.19”仕様となっていたため、当時の試合を伝える新聞の記事が飾られている。これは貴重だ。
もちろん10.19関連以外のグッズや記念品が多数展示されており、王貞治選手の700号ホームランの記念プレートや、張本勲選手が3000本安打を通算495本塁打目で達成した記念プレートも。かつて川崎球場を本拠地としていた大洋ホエールズコーナーもあり、目に飛び込んできたのは、懐かしの外国人選手・シピンのユニフォーム! これはオールドファンにはたまらないだろう。
また、川崎球場といえば、プロ野球だけでなく、プロレスの聖地でもある。大仁田厚選手はFMW時代の1994年5月5日、メインエベントでテリー・ファンク選手とノーロープ有刺鉄線電流爆破超大型時限爆破デスマッチ時間無制限一本勝負(※長いわ!)ルールで対戦。この興行は、川崎球場史上最高入場者数の5万2000人を記録している。
だが、同イベントの案内人である横山健一氏は、「この球場に5万人入ると思いますか? もう時効だから言いますけど、嘘です!」とバッサリ! 思わず参加者から笑いが起きたが、たしかに球場の収容人数を考えると、かけ離れた数字だ。
ここで、富士通スタジアム川崎支配人の田中育郎氏も大仁田選手について言及。「先日、大仁田さんが『また川崎球場でデスマッチをやる!』って言ったらしいですけど、ウチは一言も聞いてません」とぶっちゃけ、さらに笑いが起きた。
展示品に目をやれば、『ロッテオリオンズこども会』の手帳が。このファンクラブの名称は、1年目は『ロッテバブルボーイズ』と呼ばれていたという。当時、川崎の商店街などで配られていた招待券も展示されており、その中の一枚に記されていたのは「1990パシフィックリーグ戦主権試合」。「選手権」を「戦手権」と誤植してしまっており、当時はこの誤植した招待券を1年間配っていたということだ。この誤植招待券については、元ロッテの愛甲猛氏が自身の著書で触れていたが、まさか本当にこの目で見ることになるとは…。
そして、なんといっても参加者の目を釘づけにしたのは、10.19の映像コーナー! 経過や結果がわかっていても、やっぱり何度も観てしまうというものだ。さらに、ロッテファンにはたまらない「テレビじゃ見れない川崎劇場」のCMも特別に流れ、参加者のテンションが一気に高まる。
かつてロッテオリオンズの応援団員も務めた横山氏は、10.19も実際に川崎球場で観戦していたという。「当時はロッテに入社し、営業職をやっていました。試合のことが気になって気になって、午後3時に仕事を切り上げて、『ロッテチューインガム』のロゴが入った車で球場へ行って…」と、当時のことを振り返る。
いつもは閑古鳥が鳴いていた川崎球場だったが、近鉄の優勝が懸かっていたため、この日ばかりは超満員。中に入り切れない人が続出したことは有名だが、横山氏は「10.19はとにかくお腹が減った思い出しかない。売店は、日本酒以外全部売り切れだった」と証言した。いつもは暇であろう売店のおばちゃんが、あまりにも人が押し寄せたものだがから、パニックになって店を閉めちゃった…という噂を聞いたことがあったので、横山氏に聞いてみたところ、「だって本当に食べ物がないんですもの」と返答。噂は本当だった!
その他にも、川崎球場といえば、「観客が試合そっちのけで麻雀をやっていた」、「カップルが試合そっちのけでイチャついていた」、「観客が流しそうめんを食べたいた」など様々な伝説があるが、この真偽について横山氏に確かめたところ、全部真実だったことが判明! それどころか、「当時はいまと違って、持ち物検査も厳しくありませんから。どこから持ってきたのか、変な観客がトイレットペーパーを持ち込んでね。“●んこ”って卑猥な文字を大きく書いて試合中に広げて…」という新事実まで。うーん……何がやりたいんだ、コラ!
10.19の結果については、皆さんご存知の通り、第2試合が時間切れ引き分けとなり、近鉄は優勝を逃す。横山氏は「試合が終わった後も近鉄ファンの皆さんは暴れるわけでもなく、素晴らしかった」と、当時の近鉄ファンを讃えた。だが、「僕の営業の車がしっかり凹んでいました」というオチが。
ちなみに川崎球場で行われた最後のプロ野球の試合は、2000年3月26日、千葉ロッテマリーンズ対横浜ベイスターズのオープン戦。結果は、めったにホームランを打たない小坂誠選手がなんと1イニング2ホームランを記録するなど、ロッテが10ホームランを放ち、22-6でベイスターズに圧勝した。この川崎球場ラストゲームについて、横山氏は「決して投手のレベルが低かったわけじゃない。これだけホームランが出るということは、この狭い球場で野球をやるにはもう無理があった」と語った。
最後に、横山氏は「川崎球場は当時の遺構が残っている。これからもスポーツ施設としての歴史を大切にしながら、川崎のスポーツ文化の聖地として、支配人にも頑張ってほしい。ぜひ皆さんも、地元のスポーツチームを応援してほしい」と、参加者へメッセージを。
イベント終了後、田中氏も「僕は子供の頃、川崎球場で大洋対巨人の試合を観て、王さんのホームランも観た。川崎球場のイメージって古いし、汚いし、川崎市はその歴史をなかったことにしようとしている。でも、それって違うと思う。川崎球場は左右対称じゃなかったりするけど、メジャーリーグにもそういう球場はあるし、いいと思う」と、川崎球場の存在意義について熱く語っていた。
同イベントは、横山氏が案内人となり、「純パの会」の方々の協力のもと行われたが、「まだまだウォーミングアップ」とのことで、今年10月に“本番のイベント”が開催されることが決定! 今年の10月19日は水曜日で平日になるため、10月の土日のいずれかの日に開催予定とのことだ。これは楽しみで仕方ない。




















